Resolution of Social Issues 社会的課題解決

気候変動への対応

気候変動への対応>CO2排出量の推移

基本的な考え方

気候変動の緩和のため温室効果ガスの排出を削減することは、地球規模で緊急かつ重要な課題であり、当社グループにとっても優先的な課題です。特に、ものづくり企業である当社グループにとって、CO2排出量を削減することは、当社グループが果たすべき責任と考えています。

当社グループは、『エコビジョン2030』において、2050年カーボンニュートラルを目指すことを前提として、CO2排出量の削減目標「2030年度:2018年度比30%削減」(スコープ1・2)を宣言しています。また、サプライチェーンや製品ライフサイクルにおいてもCO2排出量削減を推進し、「2030年度:2018年度比30%削減」(スコープ3)を目指します。さらに2024年度末には「2035年度:2018年度比71.4%削減」(スコープ1・2)を設定しました。

取り組みとしては、主に「プランA 省エネ」「プランB ものづくり・働き方改善」「プランC 創エネ」「プランD 調達・証書」の4つのプランでさまざまな施策を行い、計画的なCO2排出量削減と経済的な成長を両立していきます。

また、将来的には、「炭素循環型」の仕組みを構築し、あわせて水素活用に取り組んでいくことで、当社グループおよび社外のCO2の利活用を推進し、気候変動問題の解決に貢献しつつ当社グループのネットゼロを目指していきます。

当社グループでのカーボンニュートラル(ネットゼロ)へ向けた取り組み

スコープ1・2の目標値

項目 目標
スコープ1・2 2035年度 71.4%削減(2018年度比)※1
2030年度 30%削減(2018年度比)※2
  • 2029年度 29.4%削減(2018年度比)
  • 2028年度 28.2%削減(2018年度比)
  • 2027年度 27.0%削減(2018年度比)
  • 2026年度 25.7%削減(2018年度比)
  • 2025年度 24.5%削減(2018年度比)
  1. SBTi1.5℃目標の要件(CO2排出量の毎年4.2%以上削減 )に相当するよう目標設定。
  2. SBTi(Science Based Targets Initiative)より、SBT WB2℃(well-below 2℃)の認定を取得済み。

2030年までのCO2排出量削減方策

当社では、2030年までにスコープ1・2のCO2排出量30%削減を達成するためのロードマップを作成しています。主に「プランA 省エネ」「プランB ものづくり・働き方改善」「プランC 創エネ」「プランD 調達・証書」の4つのプランでさまざまな施策を行い、計画的なCO2排出量削減と経済的な成長を両立していきます。

「プランA 省エネ」の取り組み

生産現場における取り組み

生産設備導入の際は、省エネ設計のためのチェックリストを設定し確認しています。既存の生産設備や付帯設備については、休日・夜間の待機エネルギー削減のための設備改善に取り組んでいます。
また、設備の経年劣化によるエアー漏れなどのエネルギーロスを防ぐため、定期検査・保守を計画的におこなっています。

オフィスにおける取り組み

LED照明への切り替え、休憩時の消灯・PC電源OFFはもちろんのこと、夏季はクールビズ、冬季はウォームビズを推奨し、温度・湿度・換気を適切に管理することで省エネを図っています。

屋上緑化

緑地の拡大、省エネ効果を目的として小牧工場の一部で屋上に緑地を設置しております。

「プランB ものづくり・働き方改善」の取り組み

生産現場における取り組み

生産において過剰なエネルギーで加工をすることのないよう、適宜、ものづくりの条件(プロファイル)を見直しています。また、各カンパニーごとのCO2排出量は、社内ダッシュボードで可視化されており、可能なかぎりエネルギー効率の良い生産ができるよう各拠点で日々の改善活動に取り組んでいます。改善事例は各拠点で展開され、グループ一丸となって省エネ活動を推進しています。

「プランC 創エネ」の取り組み

再生可能エネルギー

太陽光や水力、地中熱などの再生可能エネルギーの利用を推進しています。
現在、再生可能エネルギーに関する設備を設置している主な拠点は下記の通りです。今後も計画的に設置を進めていきます。

再生可能エネルギー 会社・サイト名 公称発電容量(kw)
太陽光発電 日本 日本特殊陶業(株) 小牧工場 882
伊勢工場 2640
(株)日特スパークテックWKS 二野工場 193
さつま工場 1092
セラミックセンサ(株) 中津川工場 1216
(株)NTKセラテック 本社工場 422
中国 上海特殊陶業(有) 400
常熟特殊陶業(有) 978
タイ サイアムNiterra(株) 389
Niterra タイ(株) 1679
Niterra アジア(株) 3637
インド Niterra インド(株) 574
オーストラリア Niterraオーストラリア(株) 175
ブラジル Niterra ブラジル(有) 3413
地中熱ヒートポンプ 日本 (株)日特スパークテックWKS 大草工場
小型水力発電 日本特殊陶業(株) 小牧工場

実際の発電量についてはサステナビリティデータをご覧ください。

燃料電池

小牧工場には、定格発電出力20kW級の小型燃料電池システムと定格発電出力250kW級の燃料電池複合発電システムを導入済みです。今後もクリーン水素利用による燃料電池システムや蓄電池など、多様なエネルギーデバイスの導入を検討し、クリーンエネルギー創出によるCO2削減に挑戦していきます。

「プランD 調達・証書」の取り組み

CO2フリー電力導入の取り組み

本社と日特スパークテックWKSさつま工場およびさつま電極工場ではCO2フリー電力を100%採用しています。また、小牧工場とNTKセラテックでは部分的にCO2フリー電力を使用しています。
今後も省エネ活動を中心に電力消費を抑制しながら、CO2フリー電力を計画的に導入していきます。

炭素循環型社会の実現に向けた取り組み(カーボンニュートラル・アズ・ア・サービス)

カーボンニュートラル社会の実現に貢献するため、メタネーション関連技術(セラミックの固体電解質を応用した水素製造技術や酸素濃縮装置の技術を応用したCO2回収技術)の開発を進めています。

社内啓発の取り組み(社内カーボン・プライシング、社内炭素税、社内環境ファンド)

カーボンニュートラルに向けてスコープ1・2を削減していくための啓発施策として「社内カーボン・プライシング」、「社内炭素税」、「社内環境ファンド」を導入しています。
「社内カーボン・プライシング」について、当社グループでは、CO2排出量1トンあたり1万円と設定しています。「社内炭素税」は、社内カンパニーやグループ会社を含む各部署のCO2排出量に応じて、その金額を徴収する仕組みです。よりCO2削減への意識を高め、加速する効果を期待しています。
また、「社内環境ファンド」は、「社内炭素税」で集まった資金を、CO2削減のための設備投資への補助金として充当する仕組みです。2023年度の実例として、伊勢工場やセラミックセンサ中津川工場の太陽光発電設備へ補助金を供出しました。設備導入の際は、CO2排出量だけでなく、水やエネルギーなど全般の環境アセスメントをしたうえで、経営会議にて総合的に判断しています。

従業員参加型のカーボンニュートラルの取り組み

本取り組みは、当社が中部電力ミライズから、従業員の自宅で発電した太陽光発電の余剰電力に由来する環境価値を付加した電気の供給を受け、小牧工場で利用するものです。また、余剰電力の環境価値を提供した従業員には中部電力ミライズを通じてインセンティブを付与いたします。
当社は、本取り組みにより従業員と一体となってカーボンニュートラルの取り組みを推進いたします。

  • 再生可能エネルギーの固定価格買取制度に基づく買取期間が満了したもの。

太陽光発電システムPPAサービスの検討

当社の創エネ活動の一環として、当社グループのみならず地域の CO₂削減を目指すため、これまでの取り組みに加え、従業員、お取引先さま、当社製品ユーザー工場や店舗の事業者様にもご参加いただける事業者様向けPPAサービスの検討を開始します。当社がサービス提供主体者として、地域の工場や店舗に太陽光発電システムを設置し、発電した電力をその工場や店舗の電力使用者へ提供します。発電した太陽光発電の余剰電力は当社で活用し、将来的には水素製造、水素利用をおこない炭素循環型社会に向けて、創出した電力を有効活用します。

当社は本取り組みにより地域一体となってカーボンニュートラルを推進していきます。

サプライチェーンでのカーボンニュートラルへ向けた取り組み

スコープ3の目標値設定について

項目 目標

スコープ3:

カテゴリ1「購入した製品・サービス」
カテゴリ4「輸送、配送(上流)」の一部
カテゴリ11「販売した製品の使用」

2030年度 30%削減(2018年度比)
  • SBTi(Science Based Targets Initiative)より、SBT WB2℃(well-below 2℃)の認定を取得済み

スコープ3は、スコープ1・スコープ2以外の間接的な温室効果ガスの排出(当社事業活動に関連する他社の排出)を指し、15個のカテゴリに分類されています。
当社では、カテゴリ1「購入した製品・サービス」、カテゴリ4「輸送、配送(上流)」、カテゴリ11「販売した製品の使用」の合計でスコープ3全体の97.6%を占めていることから、これら3つのカテゴリをターゲットに目標設定し、CO2排出量の削減に取り組んでいます。
カテゴリ1については、『CSR・サステナビリティ調達ガイドライン』を通して、お取引先さまにCO2削減目標の設定と取り組みを求めており、お取引先さまの状況に応じて、必要な支援を実施していきます。
カテゴリ4については、省エネ法の特定荷主として、工場再編・集約化や、廃棄物処理業者の見直しなどによる輸送距離の短縮など、輸送に伴うCO2排出量の削減に取り組んでいます。
全体に占める割合が最も大きいカテゴリ11については、製品使用時のエネルギー効率が改善する設計を行うなど、取り組みを進めていきます。

カテゴリ1「購入した製品・サービス」の取り組み

CSR・サステナビリティ調達ガイドライン

CSR・サステナビリティの取り組みをサプライチェーン全体で推進するために『CSR・サステナビリティ調達ガイドライン』を発行し、お取引先さまに展開しています。
本ガイドラインは、お取引先さまに遵守いただきたい内容を定めたもので、気候変動への対応についても記載しており、CO2削減目標の設定と取り組みを実践していただいています。また、お取引先さまから仕入先さまへの本ガイドラインの展開についてもお願いしています。

当社向けの製品に関連するCO2排出量の調査

お取引先さまにおける当社に関連するCO2排出量を把握するため、お取引先さまへ、当社向けの製品に関連するCO2排出量の調査を実施しています。また、ご希望のあったお取引先さまに、CO2排出量に応じて必要な支援を実施していきます。

お取引先さま向けセミナー

お取引先さま向けのセミナーを開催し、気候変動のリスクや、当社のCO2削減のための取り組みを事例として紹介しています。

カテゴリ4「輸送、配送(上流)」の取り組み

物流ルートの見直し

当社工場で製造した製品は陸送で港まで運ばれ、船便で世界中に出荷されています。
さつま工場で製造した製品は、名古屋港と博多港の2拠点に陸送して出荷していましたが、新たに薩摩川内港の利用を開始しました。製品の一部をさつま工場と距離が近い薩摩川内港を活用することで、効率よく輸送し、陸送中に排出されるCO2を削減する狙いです。
物流拠点の見直しにより、年間約42トンのCO2削減が実現できる見込みです。

カテゴリ11「販売した製品の使用」の取り組み

製品のライフサイクルでの環境配慮

当社グループは、自社製品においてもCO2削減に貢献しています。
製品のなかで、製品ライフサイクル全体において、特に環境性能の高い製品を「Niterraグリーンプロダクツ」に認定し、その拡充を図っています。

例えば、「Niterraグリーンプロダクツ」に認定されている貴金属プラグや全領域空燃比センサを装着した自動車は、従来品を装着した自動車と比較して、ガソリン消費量は1台あたり年間13Lの節約となり、1年間に約30kgのCO2排出を抑制できます。

年間で、貴金属プラグが8,000万台に装着されたと仮定すると、約240万トンのCO2排出抑制につながります。同様に、全領域空燃比センサについても、2,500万台に装着されたと仮定すると、約75万トンのCO2排出抑制になります。

気候変動関連のリスク・機会に関する情報開示の拡充

当社グループは、2020年7月に、TCFD(気候変動関連財務情報開示タスクフォース)による提言への賛同を表明しました。
TCFDの提言に基づいて、気候変動が当社グループの事業や戦略、財務に与える影響を全社的リスクマネジメントの枠組みで検討し、全取締役が出席するリスクマネジメント委員会およびCSR・サステナビリティ委員会で議論していきます。また、自主的かつ積極的な情報開示を進めていきます。

地域社会との連携

当社グループは、地域とともにカーボンニュートラルな未来の実現を目指しており、事業を展開する各拠点において、CO₂排出量の削減や再生可能エネルギーの導入を積極的に進めています。
NTKセラミックは2025年2月に、生産拠点のある長野県上伊那郡飯島町とカーボンニュートラルに向けた連携協定を締結しました。飯島町は、2022年10月に「飯島町カーボンニュートラル宣言」を表明しており、2050 年までに飯島町の二酸化炭素(CO₂)排出量実質ゼロを目指すことを宣言しています。カーボンニュートラルの実現に向けた産業分野の取り組み推進に貢献していきます。

業界団体・イニシアチブへの参画

当社グループは、気候変動への取り組みを推進していくにあたり、気候変動に関する公共政策や規制に対して、それを支持しており、下記に参画しています。

  • TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)
  • SBTi(Science Based Targets イニシアチブ)
  • GXリーグ(経済産業省)
  • 日本自動車部品工業会(カーボンニュートラル部会)
日本特殊陶業株式会社