気候変動の緩和のため温室効果ガスの排出を削減することは、地球規模で緊急かつ重要な課題であり、当社グループにとっても優先的な課題です。特に、ものづくり企業である当社グループにとって、CO2排出量を削減することは、当社グループが果たすべき責任と考えています。
当社グループは、『エコビジョン2030』において、2050年カーボンニュートラルを目指すことを前提として、CO2排出量の削減目標「2030年度:2018年度比30%削減」(スコープ1・2)を宣言しています。また、サプライチェーンや製品ライフサイクルにおいてもCO2排出量削減を推進し、「2030年度:2018年度比30%削減」(スコープ3)を目指します。
取り組みとしては、主に「プランA 省エネ」「プランB ものづくり・働き方改善」「プランC 創エネ」「プランD 調達・証書」の4つのプランでさまざまな施策を行い、計画的なCO2排出量削減と経済的な成長を両立していきます。
また、将来的には、「炭素循環型」の仕組みを構築し、あわせて水素活用に取り組んでいくことで、当社グループおよび社外のCO2の利活用を推進し、気候変動問題の解決に貢献しつつ当社グループのネットゼロを目指していきます。
項目 | 目標 |
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スコープ1・2 | 2030年度 30%削減(2018年度比)
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当社では、2030年までにスコープ1・2のCO2排出量30%削減を達成するためのロードマップを作成しています。主に「プランA 省エネ」「プランB ものづくり・働き方改善」「プランC 創エネ」「プランD 調達・証書」の4つのプランでさまざまな施策を行い、計画的なCO2排出量削減と経済的な成長を両立していきます。
生産設備導入の際は、省エネ設計のためのチェックリストを設定し確認しています。既存の生産設備や付帯設備については、休日・夜間の待機エネルギー削減のための設備改善に取り組んでいます。
また、設備の経年劣化によるエアー漏れなどのエネルギーロスを防ぐため、定期検査・保守を計画的におこなっています。
LED照明への切り替え、休憩時の消灯・PC電源OFFはもちろんのこと、夏季はクールビズ、冬季はウォームビズを推奨し、温度・湿度・換気を適切に管理することで省エネを図っています。
緑地の拡大、省エネ効果を目的として小牧工場の一部で屋上に緑地を設置しております。
生産において過剰なエネルギーで加工をすることのないよう、適宜、ものづくりの条件(プロファイル)を見直しています。また、各カンパニーごとのCO2排出量は、社内ダッシュボードで可視化されており、可能なかぎりエネルギー効率の良い生産ができるよう各拠点で日々の改善活動に取り組んでいます。改善事例は各拠点で展開され、グループ一丸となって省エネ活動を推進しています。
太陽光や水力、地中熱などの再生可能エネルギーの利用を推進しています。
現在、再生可能エネルギーに関する設備を設置している主な拠点は下記の通りです。今後も計画的に設置を進めていきます。
再生可能エネルギー | 国 | 拠点/法人 名称 | 拠点 | 公称発電容量(kw) |
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太陽光発電 | 日本 | 日本特殊陶業 | 小牧工場 | 620 |
日特スパークテックWKS | 二野工場 | 2,000 | ||
日特スパークテックWKS | さつま工場 | 422 | ||
NTKセラテック | 仙台工場 | 422 | ||
インド | Niterra インド | - | 567 | |
中国 | 常熟特殊陶業有限公司 | - | 500 | |
上海特殊陶業有限公司 | - | 200 | ||
タイ | Niterraアジア | - | 3,637 | |
Niterraタイ | - | 1,679 | ||
サイアムNiterra | - | 389 | ||
ブラジル | Niterraブラジル | - | 3,064 | |
地中熱ヒートポンプ | 日本 | 日特スパークテックWKS | 大草工場 | - |
小型水力発電 | 日本 | 日本特殊陶業 | 小牧工場 | - |
実際の発電量についてはサステナビリティデータをご覧ください。
小牧工場には、定格発電出力20kW級の小型燃料電池システムと定格発電出力250kW級の燃料電池複合発電システムを導入済みです。今後もクリーン水素利用による燃料電池システムや蓄電池など、多様なエネルギーデバイスの導入を検討し、クリーンエネルギー創出によるCO2削減に挑戦していきます。
本社と日特スパークテックWKSさつま工場およびさつま電極工場ではCO2フリー電力を100%採用しています。また、小牧工場とNTKセラテックでは部分的にCO2フリー電力を使用しています。
今後も省エネ活動を中心に電力消費を抑制しながら、CO2フリー電力を計画的に導入していきます。
カーボンニュートラル社会の実現に貢献するため、メタネーション関連技術(セラミックの固体電解質を応用した水素製造技術や酸素濃縮装置の技術を応用したCO2回収技術)の開発を進めています。
CO2削減をより一層推進するための取り組みとして、取締役(監査等委員である取締役及び社外取締役を除く。)および執行役員(雇用型執行役員を除く。)を対象とする業績連動型株式報酬制度において、評価指標の一つに「CO2排出量削減率」を定めています。
カーボンニュートラルに向けてスコープ1・2を削減していくための啓発施策として「社内カーボン・プライシング」、「社内炭素税」、「社内環境ファンド」を導入しています。
「社内カーボン・プライシング」について、当社グループでは、CO2排出量1トンあたり1万円と設定しています。「社内炭素税」は、社内カンパニーやグループ会社を含む各部署のCO2排出量に応じて、その金額を徴収する仕組みです。よりCO2削減への意識を高め、加速する効果を期待しています。
また、「社内環境ファンド」は、「社内炭素税」で集まった資金を、CO2削減のための設備投資への補助金として充当する仕組みです。2023年度の実例として、伊勢工場やセラミックセンサ中津川工場の太陽光発電設備へ補助金を供出しました。設備導入の際は、CO2排出量だけでなく、水やエネルギーなど全般の環境アセスメントをしたうえで、経営会議にて総合的に判断しています。
本取り組みは、当社が中部電力ミライズから、従業員の自宅で発電した太陽光発電の余剰電力※に由来する環境価値を付加した電気の供給を受け、小牧工場で利用するものです。また、余剰電力の環境価値を提供した従業員には中部電力ミライズを通じてインセンティブを付与いたします。
当社は、本取り組みにより従業員と一体となってカーボンニュートラルの取り組みを推進いたします。
項目 | 目標 |
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スコープ3: カテゴリ1「購入した製品・サービス」 |
2030年度 30%削減(2018年度比) |
スコープ3は、スコープ1・スコープ2以外の間接的な温室効果ガスの排出(当社事業活動に関連する他社の排出)を指し、15個のカテゴリに分類されています。
当社では、カテゴリ1「購入した製品・サービス」、カテゴリ4「輸送、配送(上流)」、カテゴリ11「販売した製品の使用」の合計でスコープ3全体の97.6%を占めていることから、これら3つのカテゴリをターゲットに目標設定し、CO2排出量の削減に取り組んでいます。
カテゴリ1については、『CSR・サステナビリティ調達ガイドライン』を通して、お取引先さまにCO2削減目標の設定と取り組みを求めており、お取引先さまの状況に応じて、必要な支援を実施していきます。
カテゴリ4については、省エネ法の特定荷主として、工場再編・集約化や、廃棄物処理業者の見直しなどによる輸送距離の短縮など、輸送に伴うCO2排出量の削減に取り組んでいます。
全体に占める割合が最も大きいカテゴリ11については、製品使用時のエネルギー効率が改善する設計を行うなど、取り組みを進めていきます。
CSR・サステナビリティの取り組みをサプライチェーン全体で推進するために『CSR・サステナビリティ調達ガイドライン』を発行し、お取引先さまに展開しています。
本ガイドラインは、お取引先さまに遵守いただきたい内容を定めたもので、気候変動への対応についても記載しており、CO2削減目標の設定と取り組みを実践していただいています。また、お取引先さまから仕入先さまへの本ガイドラインの展開についてもお願いしています。
お取引先さまにおける当社に関連するCO2排出量を把握するため、お取引先さまへ、当社向けの製品に関連するCO2排出量の調査を実施しています。また、ご希望のあったお取引先さまに、CO2排出量に応じて必要な支援を実施していきます。
お取引先さま向けのセミナーを開催し、気候変動のリスクや、当社のCO2削減のための取り組みを事例として紹介しています。
当社工場で製造した製品は陸送で港まで運ばれ、船便で世界中に出荷されています。
さつま工場で製造した製品は、名古屋港と博多港の2拠点に陸送して出荷していましたが、新たに薩摩川内港の利用を開始しました。製品の一部をさつま工場と距離が近い薩摩川内港を活用することで、効率よく輸送し、陸送中に排出されるCO2を削減する狙いです。
物流拠点の見直しにより、年間約42トンのCO2削減が実現できる見込みです。
当社グループは、自社製品においてもCO2削減に貢献しています。
製品のなかで、製品ライフサイクル全体において、特に環境性能の高い製品を「日特グリーンプロダクツ」に認定し、その拡充を図っています。
例えば、「日特グリーンプロダクツ」に認定されている貴金属プラグや全領域空燃比センサを装着した自動車は、従来品を装着した自動車と比較して、ガソリン消費量は1台あたり年間13Lの節約となり、1年間に約30kgのCO2排出を抑制できます。
年間で、貴金属プラグが8,000万台に装着されたと仮定すると、約240万トンのCO2排出抑制につながります。同様に、全領域空燃比センサについても、2,500万台に装着されたと仮定すると、約75万トンのCO2排出抑制になります。
当社グループは、2020年7月に、TCFD(気候変動関連財務情報開示タスクフォース)による提言への賛同を表明しました。
TCFDの提言に基づいて、気候変動が当社グループの事業や戦略、財務に与える影響を全社的リスクマネジメントの枠組みで検討し、全取締役が出席するリスクマネジメント委員会およびCSR・サステナビリティ委員会で議論していきます。また、自主的かつ積極的な情報開示を進めていきます。
当社グループは、気候変動への取り組みを推進していくにあたり、気候変動に関する公共政策や規制に対して、それを支持しており、下記に参画しています。