Environment 環境

化学物質管理

化学物質管理

基本的な考え方

化学物質はその多くの優れた機能により産業分野のみならず日常生活の様々な場面で利用されています。
その反面、中には人や環境にとって有害なものも存在しており、社会の関心の高まりとともに有害化学物質に関する規制は世界的に年々厳しくなっています。
原材料に化学物質を使用するものづくり企業である当社グループにとって、化学物質の適切な管理は社会的責任の一つであると考えています。
当社グループは、2040年の目指す姿として「適正な化学物質管理を継続的に実施し、生物多様性保全に貢献している」ことを掲げており、2030年のありたい姿として「適正な化学物質管理を実施し、環境負荷の低減を図る」ことを目標としています。
また、当社サプライチェーンにおいても、化学物資の適正な管理を推進していきます。

化学物質の管理体制

当社グループは、環境負荷物質の取り扱いについて、(1)お客さまからの要求への対応、(2)グループ内での取り扱い、(3)お取引先さまからの調達、の3つの段階から成る管理体制を構築しています。
法規制やお客さまからの要求に確実に対応するのはもちろんのこと、化学物質による環境や人体への影響を小さくするよう、環境負荷物質の使用と排出の削減に取り組みます。

お客さまの要求への対応

製品含有化学物質に関する規制の強化を受け、自動車や電気・電子業界をはじめとするお客さまからの遵守要請が強くなっています。欧州のREACH規則をはじめ、POPs条約・米国TSCA規制などの対象化学物質に関して、当社製品中の含有状況を把握するとともに、お客さまからご要望があった際は、非含有宣言書/IMDS/JAPIAシート/chemSHERPAなど、各種データの速やかな提出、管理体制に関する調査や監査への対応など、適切な対応に努めています。

グループ内での取り扱い

世界的に年々厳しくなる化学物質規制に適切に対応するため、製品への非含有管理と工場での使用管理をおこなっています。
有害化学物質には、規制の厳しさや有害性に応じてハザードランクを設定し、ランクごとの取り扱い基準を定めています。
今後も、法規制やお客さまからの要求を確実に遵守するため、有害化学物質の代替化や、管理の強化を図っていきます。

図 管理体系

ハザードランク

ランク 取り扱い基準 対象となる物質
禁止 使用を禁止する 法規則などで使用を禁止または強く制限されている物質
制限 代替化計画を立案し、使用量の削減をおこなう 禁止物質に相当する危険・有害性があり、特性上すぐに代替することが不可能な物質
要監視 製品に関わる購入資材に対して含有有無を把握する 禁止や制限はされないが、製品への含有の把握が求められる物質

PRTR対象物質の管理

各部門でPRTR対象物質の特定と集計を確実におこない、取扱量、排出量、移動量等を把握することで、適切な管理に努めています。

PRTR対象物質の2022年度の排出量は223トンでした。その大部分がセラミックシート製造工程から排出されるトルエンで、増産に伴って排出量が増加しています。今後、計画的に処理装置の導入を進め、2030年度末までに、トルエンを含むVOC(揮発性有機化合物)の大気排出量を半減させる予定です。

PRTR対象物質の排出量(国内グループ【統合認証】)

お取引先さまからの調達

製品含有化学物質を適切に管理するためには、お取引先さまの協力が不可欠です。そのため、『グリーン調達ガイドライン』において、当社が禁止する有害化学物質を含有しないよう、お取引先さまへお願いしています。なお、当社のシステム基準とマテリアル基準を満たすお取引先さまを「グリーンサプライヤー」として認定し、有害化学物質を双方で適切に管理することを推進しています。
また、エコビジョン2030では、「グリーン調達制度導入100%達成」を目標としており、当社グループ全体でグリーン調達体制の確立を目指して取り組んでいくために、海外工場への拡大の準備を開始しました。

日本特殊陶業株式会社