当社グループは、「2030 長期経営計画 日特BX」において「これまでの延長線上にない変化」を遂げていることを2040年の目指す姿として掲げています。その中核メッセージは、「志を持った多様な人財とともに共生する企業になる」ことです。「セラミックスで何ができるか」にこだわらず、セラミックスの領域を越え、世の中や私たちの想像を超えた挑戦のため、自律した人財の獲得と育成、多様な知と知の組み合わせ、エンゲージメントの向上を通じ、人的資本の最大化を目指すことで、企業価値向上を実現していきます。
長期経営計画の主柱に、事業ポートフォリオ転換を掲げています。事業ポートフォリオ転換実現の為には、「既存事業」と「新規事業」における両利きの経営の実践が必要不可欠であると考えています。
そして、その両利きの経営を実践・推進していくのは、経営上最も重要な資本である人財です。当社としては、人財が活躍できる機会や育成環境の提供と、組織風土の醸成を目的に、マテリアリティとして「グローバル人財マネジメント」を掲げています。
まず、「グローバル人財マネジメント」を牽引していく人財像を、「自律創造人財」と定め、輩出すべく、現人財の一層の活躍機会や育成環境の提供とともに、外部からも尖った専門性を持つ人財を戦略的に獲得しています。
また、次世代経営人財の育成にも力を入れており、選抜人財に対し、経営に必要な姿勢や思考、知識を習得するための育成プログラムも継続的に提供しています。
育成・確保した自律創造人財の能力を最大限に引き出すための組織風土醸成にも積極的に取り組んでいます。性差や年次等の各種属性を問わず、多様な人財を認めて受け入れ、それぞれに最適なサポートや機会の公平な提供や、多様な人財が活き活きと働くために、働き方の選択肢の多様化推進など、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)の基盤構築を推進することを通じて、従業員のエンゲージメント向上を図っています。
人財戦略および経営上重要な人事施策、また、経営戦略上、重要なグループ全体のコアポジションの人事については、人的資本管理責任者である人事戦略室管掌役員のもと、人事戦略室にて立案し、経営会議に諮ります。
当社は2022年4月より、人事制度を改変しました。中期経営計画のテーマである「変えるために、壊す。変わるために、創る。」ことが実現できる「自律創造人財」の創出を加速させるため、当社グループ共通で目指す人財施策の方向性を明示した「グループ人財方針」を落とし込み、これまでよりさらに、年齢や性別などの属性にとらわれず、成果と挑戦に報いる、公平性の高い人事制度となっています。従業員の報酬には各カンパニーが出した成果が反映される仕組みを導入し、一人ひとりが事業・業績への貢献に繋がるアウトプットを強く意識して、より高効率な業務推進を期待しています。
中期経営計画達成のための人財像として、「自律創造人財」を定義しております。「自律=常に自ら目的を考え、行動する。」と「創造=現状に捉われず、最適解を考え実践する。」の両方を体現し続けることで“存在価値”を発揮する人財と定義しており、その要件を「目的の明確化」「意志入れ」「相互尊重」「自らの役割を果たす」の4つに定めています。
自律創造人財の創出に向けた具体的な取り組みとして、必要なスキルを定義しました。自律創造人財の4要件をもとにしたコアスキルと、当社グループのコアコンピタンスに基づき注力する事業領域において必要となるテクニカルスキル のふたつの軸で、現従業員の保有スキルを可視化し、全社共通のスキルマップの整備を推進しています。現状と目指すスキルとのギャップも明らかにし、従業員自らがギャップを埋めるためスキルアップしていける環境整備として、それぞれのスキルを育成する研修プログラムについても構築を進めています。
新人事制度では、グループ共通の評価要素として、「自律」、「創造」、「成果」、「挑戦」を新たに追加設定しました。グループ一丸となり、中期経営計画のテーマである「変えるために、壊す」「変わるために、創る」ことが実現できる「自律創造人財」を育成していきます。
期初面談にて、組織目標に則した個人目標を設定しています。1on1ミーティングや進捗報告ミーティングなどを通じて、日々進捗を確認しているほか、期中面談に上期の振り返りをし、下期の進め方をディスカッションしています。最終的には期末面談にてパフォーマンス評価を行っています。
また、パフォーマンス評価結果のフィードバックと考課者によるアドバイスを行うことで、パフォーマンスの向上や将来のキャリア形成につなげています。
管理職には役割等級制度を導入し、「求められる役割」に応じた役割ランク・役割給を設定することで、実際に担う役割と処遇が一致する納得感のある仕組みとしました。担当職層においても、昇格に際して年次要件を廃止することで、管理職、担当職全体で、年次を問わず早期の優秀人財の登用を実現しました。また、高い専門性を活かし事業運営・業績にインパクトを与える役割を担う人財として、専門職(SP職)という資格を新たに設定しました。従来の管理職であるM職はマネジメントに、SP職は専門性を発揮することに集中し、より高効率な事業運営を推進します。個人の役割を明確にすることで、スピード感を持った革新、適所適財を実現し組織目標の達成を促進していきます。
従業員の主体的なキャリア開発を支援するために、「キャリアデザインサイクル」を回していく仕組みを整備しています。具体的にはWILL:毎年自身のキャリアを上司と対話するマイキャリアという仕組みを通じて、実現したいことやありたい姿を考え、CAN:スキルマップを活用して伸長すべきスキルを確認し、MUST:期待される役割と自身のWILL,CANとの接続を、定期的な面談や日常の1on1の中で、職場上司とすり合わせを行うキャリアデザインサイクルを回しています。
デザインしたキャリアの実現を支援する教育コンテンツを体系化し、またコアスキルに関しては、伸ばしたいスキルに応じて推奨される研修を一覧化して、従業員に公開することで、自己研鑽の機会を提供しています。
キャリアデザインサイクルの過程で、日々の業務やキャリアの悩みが生じた場合に、いつでも相談できるよう、キャリア相談窓口を設けています。キャリアコンサルタントの資格を持った従業員が1対1でカウンセリングをおこない、相談者自らが答えを導き出せるよう支援しています。
入社3年目以上のグループ社員を対象に、個人のWill(志)を尊重したキャリア支援、キャリア自律の風土醸成、また組織における人財流動施策として社内公募制度を実施しています。社内公募制度とは、人財を求める部署が当社グループ内で募集をかけ、応募してきた社員の中から選考するという人事異動制度です。
会社のニーズと社員のWillのマッチングにより、個人の意思を尊重したキャリア形成やスキルアップにつながるだけでなく、社内で人財の流動性が高まることでノウハウが部署を超えて共有されやすくなり、組織全体の生産性向上にもつながると考えています。
当社グループでは、2017年度より社内公募制度の運用を開始し、150名以上の方が本制度を活用し、マッチングした部署へ異動しました。
採用については、事業環境の変化に迅速に対応し、人財ポートフォリオの転換を図るために、管理職クラスを含め、本社部門や、新規事業部門、IT 部門を中心にキャリア採用を積極的に進めています。
また、急激に進展するグローバル化に対応し、多様な人財の活躍を促進するため、外国籍従業員の採用をおこなっています。新卒採用においては、外国籍従業員を継続的に採用しており、近年は、日本の大学への留学生のみならず、海外の大学でより専門性を身につけた外国籍従業員の採用にも力を入れています。
さらには、女性従業員の採用比率や障がい者雇用比率を高めることも推進しており、キャリア採用者や外国籍従業員を含めて各職場で活躍することで、会社全体のダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)の推進に繋げています。
各種表彰制度を設け、従業員の活動を応援しています。
“Beyond ceramics, eXeeding imagination”を体現し、日特ウェイのマインドを持った従業員を表彰する社内コンテストです。「日特ウェイ」および「2030 長期経営計画 日特BX」の理解・浸透、「延長線上にない変化」の促進、「夢を語り、夢を叶える」人を称賛することを目的に、2021年度に創設しました。
今までの延長線上にない変化を達成した、もしくは現在チャレンジしている活動、また、社会もしくは当社グループへの貢献がある活動を募集し、従業員から応募された活動の中から、社長賞(全活動の中から年間1件)、優秀賞(半期ごとに上位10件)を選出し、表彰しています。
従業員による発明等(特許、実用新案権または意匠権にかかわる発明)を奨励するため、独創性や技術的価値が高く、会社に対して特に顕著な貢献があると認められた発明等に対して、発明した従業員等を表彰し、褒賞金を支給しています。
当社グループでは、“従業員の多様性・個性を尊重することで、自律創造人財を活かすために、エンゲージメント向上は重要課題であると認識し、改善活動に取り組んでいます。
その中で、組織課題を可視化し、組織改善につなげるため、従業員意識調査を実施しています。結果について、役員へフィードバックを行い、対話を通して取り組む課題について検討し、改善活動へ繋げています。
活動の具体例として、人事部門が中核となり、若手ヒアリングや課長ヒアリング、ワークショップを行い、各組織の改善活動を支援しています。各部門での改善活動事例の共有会を実施し、好事例を横展開することで、組織改善の促進を図っています。
また、エンゲージメント向上の意義やサーベイの目的を上長から自部門の従業員へ共有したことに加えて、2022年度より従業員意識調査の結果を役員賞与算定に用いる指標の一つとして採用し、エンゲージメント向上に向けて取り組みを加速しています。今年度の回答率は96.3%と昨年度 より3.7ポイント改善しました。
これらの活動の結果、2023年度の総合満足度は、昨年度より0.13ポイント程度向上しました。
引き続きサーベイ結果をもとに、課題を把握し打ち手を実行することで、グループ一丸となって改善活動に取り組んでいきます。